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アメリカの学校教育

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教育システム

  掲載項目
  1. 学 校制度
  2. 教育改 革
  3. 生徒の 家庭背景
  4. 学校選択

アメリカの学校教育は、地方分権制により、各州の法律によって、初等・中等・高等教育の制度、義務教育年数等を定めている。地方自治体 の教育委員会 は、学区の見通し、ゴールを決め、年間教育予算を採用・監視し、教育政策を採用し、教育長を任命・評価し、教育費を決め、地区の雇用者の労使間の団体交渉 を管理し、教師を雇い、学校を建てるなどの教育方針を決定し、教育行政を施行する。学区内の住民は、教育委員会の委員(3,5,7人)を数年ごと、選挙で 選ぶ。

学 校制度

小学校は、一般に一年生(6歳児)から五年生(11歳児)までである。就学前の五歳児の幼稚園(キンダーガ-デン)は、小学校に付属し ているところ が多い。中学校は、五年生から八年生で、構成されているが、最も一般的な中学校は、六年生から八年生の3学年から構成されている。1960年代後半から、 新しいタイプの中学校、ミドルスクールが、従来のジュニアハイスクール(2000年度では、全中学校の22パーセント)に取って代わりつつある。中学校の ほとんどのクラスは、教科別に構成されている。

高等学校は、九年生から十二年生までの四年間教育である。公立高校は、全入制の総合高校であり、生徒の背景、将来の計画、興味に合わせ て、レベル別 の多様な教科を提供している。義務教育年齢は、各州によって決められている。ほとんどの州では、ある年齢に達するか、高校卒業資格を得るか、どちらか早い 方が、義務教育である。例えば、カリフォルニア州では、義務教育年齢は、18歳までか、高校卒業資格を得て、保護者の許可の得た年齢までである。2001 年度に、約3分の2(72.5%)の17歳児が高校を卒業した。2002年度には、約11パーセントの生徒は、私立校に通学している(Digest 2003)。また、100万人以上の生徒は、家庭学習(ホームスクール)している(TIME 2000年9月11日)。

一般に、学校は、一年間180日で、9月に始まり、6月に終わる。ほぼ3ヶ月の夏休みがある。一年間180日は、夏に田畑を耕作するの に子どもが必 要だった19世紀の終わりに決められた。多くの生徒は、長い夏休みの間に学期中に学んだことを忘れてしまうことが多い。多くの小・中・高等学校が、夏季学 校プログラムを提供している。  また、3ヶ月の夏休みの代わりに、3週間の休みが一年を通して四回ある四学期制の学校が、最近、増えている。

教 育改革

2002年の包括的教育改革法「どの子も置きざりにしない “No Child Left Behind(NCLB)”)は、各学校が生徒の成績向上に対し、より多くの責務を果たし、保護者により多くの権限を与えている。各 州は、 2005年度までに、3年生から8年生までの全ての生徒に、毎年、読解と数学の試験を課すように勧めている。また、2007年までに、理科のテストも課さ なければならない。各州は、州により選択された標準テストにより測定される、改良の最小限レベルを決めなくてはならない。全般的業績と民族・人種別グルー プ別業績、経済的不利益生徒、英語力不足(LEP)生徒、障害児の業績に対する「年間達成度adequate yearly progress" (AYP)」のターゲットを決めなくては成らない。

生徒のグループ間の学業業績ギャップを縮小した学校や、学業成績ゴール以上を達成した学校への報償がある。州は、教師へのボーナスに連 邦基金を使用 することができ、偉大な学業成績成果を挙げた学校を「優秀な学校」とすることが名づけることが出来る。テストの成績が悪かった学校は、まず、より多くの補 助金を受けるが、改良するための最終期限が決めらている。

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生 徒の家庭背景

全国の小・中・高等学校の3分の1以上の生徒は、白人以外のマイノリテイである。2020年までに白人以外の生徒は、ほぼ半分を占める ようになる。 1972年に、公立校の生徒のうち、22パーセントだった白人以外のマイノリテイの生徒は、2000年には、39パーセントなっている。特に、ヒスパニッ ク系の生徒の増加率が高く、ヒスパニック系の生徒の割合は、1972年の6パーセントから17パーセントに増加している。マイノリテイの生徒は、西部地方 では、49パーセント、南部地方では、45パーセント、北西部では、32パーセント、中西部では、24パーセントを占めている(Condition 2002)。

アメリカは、離婚率と未婚率が高いので、両親と住んでいる子どもは、比較的少ない。2000年、18歳未満の子どものいる家庭のうち、 結婚している 両親のいる家庭は、73パーセントで、男性単身家庭は、5パーセント、女性単身家庭は、22パーセントである。特に、黒人の子どものいる家庭では、両親の いる家庭は、46パーセントで、女性単身家庭は、51パーセントである(Digest 2003)。学校就学児の二親家庭の割合が、1976年の83パーセントから2001年の68パーセントへと減少した(Condition 2003)。

学 校選択

最近、より多くの生徒が、近隣の指定された公立校ではなく、自ら選択した公立校に通っている。選択した公立校に登録している生徒の割合 は、1993 年の11パーセントから、1999年の14パーセントに増加した。一方、教会関係でない私立校に登録している生徒の割合は、1.6パーセントから2.3 パーセントに増えた。黒人の生徒は、白人やヒスパニック系の生徒よりも、選択された公立校へ行く割合が多い。また、白人の生徒は、私立校に行く割合が、黒 人やヒスパニック系の生徒よりも多い。1999年に、所得のより多い世帯の生徒は、私立校へ、また、所得のより少ない世帯の生徒は、選択した公立校へ行っ ていた(Condition 2002)。

マグネットスクールは、1975年に、裁判所から、自主的な人種差別廃止政策として、認められ、1976年から、連邦政府の補助を受け ている。マグ ネットスクールは、人種的に分離した学校に、他民族グループの子どもが登録できるようにした。マグネットスクールは、大都市の学区で、急激に増えていっ た。民族の構成は、地元の学区とほぼ同じである。ほとんどのマグネットスクールは、くじ引きで生徒を決めている。また、3分の1のマグネットスクールは、 生徒選択に、規準を使用している。  

1992年から、チャータースクールが確立した。チャータースクールは、州や地方の教育委員会と契約した公立の学校である。学校は、自 由に経営で き、公立校の規則から自由である。 その代わり、学校は、生徒の学業の向上など、約束した目標値に対して、責任を負わなくてはならない。もし、約束した目 標値を達成できなかったら、閉校されるかもしてない。チャータースクールへの登録は、自由であり、近郊の学区に制限されない。生徒は、学区内のチャーター スクールを選択できるし、学区外でも、もし、空席があれば、登録できる。2000年度には、37の州とコロンビア特別地区で1,999のチャータースクー ルがある。公立校の生徒の1パーセント以下の生徒が通っている。チャータースクールの47パーセントは、アリゾナ州、カリフォルニア州、ミシガン州にあ り、半分以上は、 都市部にある。また、半分以上は、小学校である。伝統的な公立校に比べ、黒人やヒスパニック系の生徒の割合が多く、白人の割合が少な い。チャータースクールの教師は、一般の公立校に比べて、教師の経験年数が少ない (Condition 2002)。全国の30ほどのサイバーチャータースクールは、子どもを家庭で教えている保護者を対象に増えてきている。一方、ホームスクールは、公的援助 はない。全国的に、16,000人の生徒は、オンライン教育も兼ねたサイバーチャータースクールに登録している。保護者が教師で、自宅で教えているが、公 的資金で、コンピューター、図画用紙、練習帳、絵画などが、学期の始めに送られてくる (LA Times 2003年1月6日)。

学校教育は、20世紀の初めまでに、普及し、州政府は、義務教育の学校法を採用した。幾つかの州は、ホームスクールを例外として認め た。現在では、 ホームスクールは、50州全ての州で合法である。しかし、州によって規制が違っている。カリフォルニア州では、ホームスクールは、生徒が、資格のある個人 指導者、州の認可したチャータースクール、学区が監督する個人教育プログラムに登録することによって、認められる。公立校と提携するために、ホームスクー ルの教育者は、契約を結び、学校を使うことができる。カリフォルニア州では、私立校の教師は、教員資格を持たなくても良い (LA Times 2002年10月10日; Lines 2001)。 1999年の調査によると、850,000人、1.7パーセントの学齢期児童(5歳から17歳)が、ホームスクールに参加した。10年前の360,000 人より増加している。ホームスクールを受けている子どもは、白人、二親、一人の所得獲得者、3人かそれ以上の子どものいる家族に多い。ほとんどのホームス クールを受けている子ども(82%)は、主に、家庭で教育を受けている。一方、近郊の学校の授業やプログラムに参加しながら、家庭で教育を受けている子 (18%)もいる。ホームスクールを受けている生徒であるためには、一週間に25時間以上、学校に登録することができない。この調査の後、ホームスクール の生徒は、毎年、11パーセントずつ伸び、150万人から200万人に達したようである。しかし、まだ、全生徒数の5パーセント以下である (Jaycox 2001; NY Times 2003年11月10日; James 2005)。 

教育クーポン券プログラムは、テストの成績、出席率、卒業率などの基準により、「失敗校」と評価された公立校の生徒が、私立校へ転校す る時、授業料 を補助する制度のことである。現在、20,000人以下の生徒が、ウイスコンシン州ミルウオ-キー市、オハイオ州クリーブランド市、フロリダ州で教育クー ポン券プログラムを使用している。また、11の州が、私立校に授業料等を支払うことを援助するために、税金控除や教育クーポン券プログラムを提供している (LA Times 2003年7月2日)。

(文責:石 木田美貴) 

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