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アメリカの学校教育
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小学校

  掲載項目
  1. 小 学校教育
  2. 小 学校生活
  3. 保 護者の学校参加

小学校は、一般に、一年生(6歳児)から五年生(11歳児)を対象にしている。多くの小学校には、五歳児の幼児教育を行う幼稚園(キン ダーガーテ ン)が付属している。1989年から1999年の10年間に、公立小学校の生徒数は、10パーセント増加した。2002年の秋学期、小・中学校の生徒の 11パーセントが私立校に通っている。1999年度に、公立校の一クラスの生徒の数は、小学校で21.1人、中・高等学校で、23.6人である。また、 2000年、教師と生徒の割合は、教師一人に対し、生徒数は、小学校で16.5人で、中・高等学校で、16.6人である (Digest 2002)。

小 学校教育

幼稚園(キンダーガーテン)から小学生三年生までのクラスは、20人以下にする努力が行われている。 全国教員組合(NEA)は、キン ダーガーテン から小学生三年生までのクラスは15人以下を提案している。 全国学力テスト結果によると、少数のクラスのほうが、よりよい成績を示している。 その他、 特にマイノリテイや低所得世帯の子どもたちの通う学校で、正規の資格をもつ教員の不足などの問題が出ている。

多数の小学校の学級は、日本と同じく一人の教師がほとんどの教科を教える担任制である。基本的な教科は、英語、算数、社会、理科で、そ の他、音楽、 図工、体育などがある。音楽、 図工、体育などは、違う教師が教える場合もある。英語教育に関しては、カリフォルニア州では、80年代に広まった、文学作 品をたくさん読む教育法から、基本的に英語を習う方法に代わり、90年代の中ごろから、発音中心の英語教授法が見直されている。また、理科教育の推進の一 貫として、小学生によるサイエンスフェアが奨励されている。

小学校には、能力別クラス編成はないが、多くの小学校には、英才児のプログラムや、学習障害児のクラスがある。また、学力の多様な生徒 に対して、多 くの教師は、クラスの中で子どもの能力に合わせて、個人や小グループに分け、指導をしている。 生徒の能力に合わせた教え方をすると生徒は、より成績が伸び満足するようである。

小学校は、平等主義とグループ指導に基き、全人教育を施している。生徒は、頻繁に、何人かのグループ別の班に分かれている。生徒全員 が、何らかの係 りや日直などの分担仕事を受け持っている。比較研究によると、日本人の教師は、生徒の指導に、クラス時間の74パーセントを費やし、一方、 アメリカの教 師は、46パーセントを費やした。また、アメリカの教師は、よく、生徒に個人で作業をさせ、能力技術別に生徒をグループに分けている。一方、日本の先生 は、クラス全体を教える (Stevenson and Stigler 1992:69, 92, 144)。

小 学校生活

学校へ通うため、生徒は、保護者の送り迎え、スクールバス、自転車(高学年)などを使っている。 スクールバスは、学校から家までの指 定された距離 範囲の生徒の為に、小学校から中学まで使われている。30年前は、3分の2の生徒が、今では、13パーセントの生徒が、歩いて通学している。約半数 (45%)の生徒がスクールバスで通学している(LA Times 2004年8月31日)。学生服は、今まで、私立校で、使用されてきたが、現在、公立の学校でも、学生服や服装に規則を決める学校が、多くなってきてい る。制服を規制することにより、暴力・不良を防ぎ、出席、 学業を高め、自尊心を高め、学校の雰囲気をよくするためでもある。

6歳から19歳までの15パーセント以上の子どもが肥満児であり、20年前の6パーセントから増えている。2004年までに、カリフォ ルニア州の 小・中学校で売られる食べ物は、栄養分の要求が、より厳しくなる。2004年1月から、例えば、小学校では、飲み物は、水、牛乳、ジュースだけが売られ る。カロリーの35パーセント以上が脂肪から来るスナックは売られない。ロサンジェルス学区の713の学校で、2004年から、フライドチップ、キャン デー、チョコレート、その他の栄養価値の低いお菓子は、学校の自動販売機、学校のお店からなくなる。その代わり、より健康的なもの、ナッツ、果物のスナッ クなどが売られる(LA Times 2003年9月1日; LA Times 2003年10月29日)。

一般に、12歳以下の子どもには、大人の監視をつけるように義務づけられている。1999年に、放課後、小学生は、親(52%)、親戚 (21%)、 他人(10%)、学童保育センター(20%)によって、監督されている。5パーセントの小学生は、誰の監督も受けていない。黒人の子どもは、白人やヒスパ ニック系の子どもよりもセンターに参加している割合が高い (Condition 2001)。2001年には、キンダーガーテンから中学生8年生までの子どもの50パーセントは、学校が終わった後、親以外の保護を受けていた。親以外の 保護は、親戚(17%)、親戚以外(6%)、学童保育センター(19%)、子どもだけ(13%)、放課後の課外活動(7%)の場合がある (Condition 2003)。

放課後の学童保育は、学校、保育機関、コミュニテイ組織、教会のグループ、ビジネス会社、政府の代理組織などによって行われている。学 童保育では、 宿題をしたり、本を読んだり、ゲームをしたりしている。料理、芸術、スポーツなどのプログラムを提供するところもある。また、他のコミュニテイ活動と提携 したりしている。

2003年の国際調査によると、アメリカの小学四年生は、宿題することに、平均1.2時間、日本の小学四年生は、平均0.9時間、費や している (TIMSS 2003)。小・中学生に対する調査によると、95パーセントの生徒は何らかの宗教を信じていて、 半分近くが毎週、教会等のサービスに参加し、80パー セントがお祈りをすると答えている(TIME 1999年7月5日)。

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保 護者の学校参加

保護者は、学校のオープンハウス、保護者懇談会、学校行事、学校ボランテイア活動やPTAなどに参加している。小学校では、少なくとも 87.5パー セントの保護者は、教師との懇談会に参加したと報告している。また、ほぼ半分の保護者が、学校ボランテイア活動や学校行事に参加している。世帯所得が高い ほど、また、保護者の学歴が高いほど参加率が高い。また、白人の保護者のほうが、黒人やヒスパニック系の保護者よりも参加率が高い (Condition 2001)。子どもの大きくなるにつれ、参加が減っている。

最近、より多くの学校は、保護者との連絡に、インターネットを使って、学校の情報、日程、方策、教育課程などを提供している。また、電 子メールを 使って、保護者に、宿題、実地見学、授業課題などを知らせている教師が増えている。小・中学校では、週間公報に学校についての情報を連載して発行している 学校が多い。高校では、PTAが、主に、保護者との対談を受け持っている。

保護者は、子どもの教師に感謝の意を示すために、教師への敬意の下に、本を図書館に寄付したり、PTA、学校基金、子どものチャリテイ に寄付したり、また、地域の会社に頼んで、会社からギフト証券等を教師に寄付することができる。

保護者が、ボランテイアとして、教室で教師の補助として授業に参加して、授業に遅れている子どもに、読み書きなどの個人指導をしたり、 宿題をチェッ クしたり、図書室の手伝いをしたり、スポーツクラブのコーチをしたりすることが勧められている。また、何か授業に関連した経験がある保護者が、授業をする こともある。

その他、地域の高年齢者が、ボランテイアとして学校に参加している。学校のボランテイアとして、本を読んだり、わからない子どもの授業 の補助をした り、障害児の補助をしたりしている。また、工芸や特別な特技知識を授業で伝達したり、世代間の交流活動に参加している。核家族で育っている子どもたちに、 おじいさんやおばあさんと触れ合う機会を与えている。

(文責:石 木田美貴)

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