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アメリカの学校教育
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非行問題

  掲載項目
  1. 非 行
  2. い じめ
  3. オ ルタナテブ プログラム

生徒による学校での犯罪行為、暴力、薬物使用等の非行が、数多く報告されている。1996年度に、57パーセントの公立校(45%の小 学校、74% の中学校、77%の高校)は、犯罪事件を警察に報告している。犯罪事件のうち、4パーセントの小学校、19パーセントの中学校、21パーセントの高校が、 危険度の高い暴力行為(強姦、性的攻撃、 武器を使った攻撃、強盗)を警察に報告している(Digest 2000)。

非 行

1999年に12歳から18歳までの生徒の中で、4パーセントが、暴力的な行為(例えば、レイプ、性的攻撃、盗難、攻撃、未遂行為や脅 かし)を受 け、8パーセントが物を盗まれたか、物の損害等があったと報告している。公立校の生徒のほうが、私立校の生徒より、より多くの報告をしている。暴力的行為 の犠牲者は、男子生徒のほうが女子生徒より多い(5%/4%)。ギャングが学校にいると報告した生徒のほうがそうでない生徒より犠牲になったことが多く (8%/3%)、物を取られたことが多い(11%/7%)。銃を持ってきた生徒を知っている生徒は、そうでない生徒より、犠牲になったことが多い(20% /12%) (Condition 2003)。 

連邦政府の法律では、例外的な場合を除いて、学校は、不良行為をした生徒を10日以内の停学処分をするように決めている。学校から停学 処分を受けた ら、子どもは親と一緒に学校側と非公式の会議を持つ権利がある。10日以上の停学処分だと弁護士と共に、学校側と正規の会議を持つことができる。 1990年代の初めごろから、幾つかの州は、ある犯罪を犯した生徒を自動的に1年間の停学処分にする法律を作り始めた。最も当てはまるケースは、銃などの 武器を学校に持ってくることである。例えば、1994年の学校銃禁止法により、学校に銃を持ってきた生徒は、一年以上学校から退学処分になる。しかし、学 区はその生徒を特別学校(オールターナテブスクール)などに送ることができる。1998年度で は、3,523人の生徒が銃を学校に持ってきたことにより、学校を退学され、そのうち、44パーセントは、特別学校などに紹介された(Kleiner et al.  2002)。

学校安全のために、1999年度、幾つかの公立校は、任意(7.7%)に、又は、毎日(1.7%)、メタル探知器で、持ち物調査をして いる。また、 ほぼ四分の一の公立校(23.9%)が、毎日、警察官か保安監視人を学校内に雇っている(Digest 2003)。メタル探知器や監視テレビを取り付けたり、1つか2つの入り口以外のドアや窓を閉鎖したり、保安監視人を雇ったり、見回り調査やロッカー調査 を強化したり、生徒と先生のIDカードを作ったりして、 学校安全を強化している。暴力的な生徒を早く見つけ、問題が大きくならない前にその生徒に指導 し、生徒と肯定的な関係を作っていくことが大切である。

1975年から2001年にかけて、高校四年生で、アルコール、マリファナ、刺激剤、コケイン、精神安定剤などを学校で使用したと報告 した生徒の割 合は、減少した。例えば、1998年の調査で、過去一年間に、学校でマリファナを吸ったと報告した高校四年生は、8パーセントで、1976年の21パーセ ントに比べて半分以下である。しかし、1990年代の初めに最も減少したが、最近、高校生の薬物使用が増えてきている。また、2001年に、過去一年間 に、マリファナを使用したと報告した高校四年生は、1992年の22パーセントから2001年の37パーセントに増えた(Condition 1999, Condition 2000, Digest 2003)。

1999年に12歳から18歳までの生徒の17パーセント(1995年には、29%)が、学校にストリートギャングがいると報告してい る (Kaufman et al. 2001)。学校でのギャング対策として、まず最初に、学校でギャングの存在を許さないことを明らかにすることが大切である。学校で、ギャングのサインを 示すこと、ドレスコードをつけること、ギャングのスローガンを叫ぶこと、学校や個人の所有物にギャングの落書きをすることを許さないようにする。ギャング メンバーを学業や、課外活動、カウンセリングのプログラムに入るように特別に努力する。保護者も一緒に子どものギャング活動から抜け出すことに協力するこ とが大切である(Schwartz 1996)。

十代の妊娠率は、1991年から減少しているが、15歳から19歳の女性の9パーセントが、毎年妊娠している。現代、82パーセントの 高校、76 パーセントの中学校、57パーセントの小学校で性教育が行われている(Parker 2001)。2002年、十代の妊娠率は、1940年代からの統計の中で、最低になった。15歳から17歳の2.3パーセントが出産した。1991年よ り、40パーセント、減少している(LA Times 2004年7月16日)。

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い じめ

多くの学校が、最近、いじめ対策の方法を取り入れている。6年生から10年生のうち、29.9パーセントが学校でのいじめに関わっ ている。13パーセントがいじめに参加し、6パーセントがいじめられ、6パーセントが両方経験した(Espelage, Dorothy L. 2002)。2000年の調査によると、最近、起こった37の学校銃撃の3分の2の攻撃者は「迫害され、いじめられ、脅かされ、攻撃され、傷つけられてい る」と感じていた。  全国学校心理学者協会によると、いじめは、160,000人以上の生徒が毎日学校を休む原因である。ジョージア州では、2つの学校でいじめに関する死者を 出したことにより、1999年に3回いじめをすると、中学・高校生は、問題児のオルタナテイブスクールに移されることを決定した (TIME 2001年4月2日)。

オ ルタナテブプログラム

オルタナテブプログラムは、成績不良、無断欠席、 破壊的行動、停学、妊娠 などにより、学校を退学した子ども、退 学の危険のある子ども、また、特別な注意が必要な障害児等を対象に施行されている。柔軟性のあるカリキュラムは、生徒一人一人の社会的、行動的、情緒的、 認識的、職業的要請に応じて、繰り込まれている。また、 個人やグループのカウンセリングを教育のプログラムに取り入れている。生徒が普通の学校に戻れる ように、生徒個人別の計画を立てている。 最近、多くの学区では、オルタナテブプログラムを公 立校で、提供している。幾つかの地区ではコミュニテイサービスをプログラムに入れている。

2001年の調査によると、39パーセントの学区にオルタナテブプログラム があり、613,000人(1.3%)の小・中・高校生が、10,900の学校・プログラムに通学している。半数以上(59%)は、オルタナテブ スクールとして、普通校とは独立したところにあり、幾つかは、少年鑑別所(4%)やコミュニテセ ンター(3%)の中にある。また、不良で危険な生徒のためのチャータースクール(1%)もある。マイノリテの 多い学区、また、貧困率の高い学区により多く設置されている。また、オルタナテブプログラムに 在学する生徒の12パーセントは、個人別教育計画に基いて教育されている障害児である。一方、全公立校に在学する障害児は、13パーセントである。

多くの学区では、高校卒業のためのカリキュラムを少人数クラス、補習クラス、個人指導などにより教え、就職指導、心理的カウンセリング なども提供し ている。生徒が、普通の学校に戻れるように、生徒個人別計画を立てている。また、少年審判所、精神保健所、警察、 児童保護所などとも提携している。柔軟 性のあるカリキュラムは、生徒一人一人の特別な社会的、行動的、情緒的、認識的、職業的要請に応じて、繰り込まれている。また、 個人やグループのカウン セリングを教育のプログラムに取り入れている。また、ほとんどのオルタナテイブスクール・オルタナテイブプログラムでは、高校卒業単位のためのクラス、大 学受験資格試験(GED)のためのコースや職業技術の訓練コースなどを提供している (LA タイムズ 2003年1月13日; Quinn, Rutherford, and Osher 1999, Schwartz 1996; Condition 2003; Kleiner et al.  2002)。

(文責:石 木田美貴)

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